ICOとは?ICOによるマーケティングの加速とリスク
これまでICOの仕組みおよびICOで発行されるコインやトークンの種類について触れてきました。今回は、ICOをすることによる、スタートアッププロジェクトにとってのマーケティング的な側面のメリットについて考えたいと思います。
さて、ICOのメリットとしては、
- 資金調達
- マーケティング
- PR
と述べました。
今回は、このマーケティングの部分についてさらに詳しく見ていきたいと思います。
スタートアップのマーケティングを加速するICOとは
マーケティングの観点では、初期にユーザーを獲得できる点と、熱量の高いフォロワーをゲットできるという点があります。
ICOにおいて特徴的なのは、この後者の熱量の高いフォロワーを獲得できる点でしょう。ICO自体は、あくまでもクラウドファンディングの一形態です。もちろん、スマートコントラクトを用いたICOには、従来に比べて大きな技術的優位性は存在しますが、ここでは割愛します。
ICOでは、プロジェクトの発行するコインおよびトークン(以下では、コインに統一します。)を、初期の安い価格で得ることができます。そして、そのプロジェクトが成長すればするほど、その発行されたコインの価値が上昇します。それは、コインの供給量がブロックチェーン上で有限に決定されているからです。
とはいえ、コインの価値が本当に上昇するのか?については、疑問も存在します。それについては、イーサリアム価格とトークンの販売価格の関係性について、別記事で考察したいと思います。
さて、初期にコインを購入した投資家は、そのコインの価格が上昇することでキャピタルゲインが可能となります。
彼らは、自己の利益という観点でもプロジェクトを応援するので、熱量の高いフォロワーとなるわけです。直接的な利害関係によって投資家たちは、プロジェクトの成功と一心同体、一種の共犯関係のような状態となります。
これが、スタートアップにとって、護送船団方式的な役割となります。
彼らは、強力なフォロワーとして、プロジェクトのことを知らない人たちにも宣伝していくでしょうし、プロジェクトの内容について解説するブログを書いたりもするでしょう。これらは、発信力の乏しいスタートアッププロジェクトにとって大きなメリットとなります。こういった点は、既存のVCの在り方とはことなる効果をもたらすと言えるでしょう。
ICOバブルとサブプライムローン
そのため、悪い言い方をすると、プロジェクト自体に価値がないとわかっていても、自分よりも後に参入した投資家に高値で買ってもらうために誇張して伝えていく可能性があります。なぜなら、自分が損したくないからです。これは、過去に不良債権化するのが目に見えていた金融商品を売りつけ過熱し、バブルがはじけるというサブプライムローンを彷彿とさせます。
現在は、ICOを行うプロジェクトについて、詳しく調べないまま購入を行っている投資家も少なくないと考えます。そのため、実体にそぐわないバリエーションを持ってしまったプロジェクトも出てくるでしょう。それは、まさに不良債権を内包した金融商品のようなものです。
そうならないことを心から願うばかりですが。。。
ICOの健全化は、どのように図られるべきか?
ICO自体は、スタートアップエコシステムにとって新たな風であると思っていますし、そうなって欲しいとも思っております。
しかし、ここでも述べたとおり、個人投資家とスタートアッププロジェクトとの新しい関係性を築く一方で、後半で述べたような多大なリスクも内包しています。
ベンチャー投資という魅力的な市場が個人に開かれたことは非常に喜ばしいことですが、スタートアッププロジェクトについての正しい情報と、指標が提示されることが必須と言えるでしょう。おそらく、一度大きなバブルと崩壊を経て、調整が入り、新しい市場としての土台が整っていくと考えます。
また、発行されるコインの性質も様々であるため、全てのコインが同じように評価・取締ができるわけでもありません。そのあたりも、ICOによって投資家にメリットのある形態を模索していく必要があるでしょう。
願わくば、崩壊を向かえたくはないですが、崩壊を向かえても粘り強くこの業界にみなさんが向き合ってくださると日本における業界の早期発展につながっていくと強く思っています。